Marine Fisheries Research and Development Center (JAMARC),Fisheries Research Agency
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平成22年度調査結果概要

  1  海洋水産資源開発事業(資源対応型:遠洋まぐろはえなわ<太平洋中・東部海域>)
  2  海洋水産資源開発事業(資源対応型:海外まき網<熱帯太平洋海域及び熱帯インド洋海域>)
  3  海洋水産資源開発事業(資源対応型:いか釣?<熱帯太平洋東部海域>)
  4  海洋水産資源開発事業(資源対応型:いか釣?<北太平洋中・西部海域,日本海海域及び壱岐周辺海域>)
  5  海洋水産資源開発事業(資源対応型:遠洋かつお釣<太平洋中・西部海域>)
  6  海洋水産資源開発事業(資源対応型:北太平洋さんま漁業<北太平洋中・西部海域>)
  7  海洋水産資源開発事業(システム対応型:大中型まき網<北部太平洋海域>)
  8  海洋水産資源開発事業(システム対応型:遠洋底びき網:全層トロール<南インド洋西部海域>)
  9  海洋水産資源開発事業(システム対応型:近海はえなわ<北太平洋西部海域>)
 10  海洋水産資源開発事業(システム対応型:近海かつお釣<南西諸島海域及び九州西方海域>)
 11  海洋水産資源開発事業(システム対応型:小型底びき網<島根県西部<石見>海域>)
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1 資源対応型:遠洋まぐろはえなわ(浮魚類開発調査グループ担当)
開発丸(489トン)

調査期間:周年

調査海域:太平洋中・東部海域

調査のねらい
1 特定の水深帯に釣針を設置することによるメバチの釣獲率向上の可能性を調査する。
2 遠洋まぐろはえなわ漁船の省エネの可能性。
3 国産天然船上凍結メバチのトレーサビリティ構築に向けて生産履歴等の検討及び当該システム導入による輸入品との差別化および付加価値向上の可能性の探求。
4 船上加工による付加価値向上と販路の拡大に取り組む。


平成22年度調査の主な成果等
1 水温10〜15℃の水深帯に釣針を集中的に設置することによるメバチの釣獲率向上の可能性を調査した。浮縄を150mとする漁具の仕立て(超深縄)にすることにより,通常深縄より効率的にメバチを出来る場合のあることが分かった。

2 急速凍結時,魚体中心温度は‐55℃到達に凍結ファンの回転数を全速から半速に落としても超低温で維持できることを確認した。これにより,従来運転に比し約 30%の省エネとなることが示唆された。
3 凍結メバチの船上保冷温度を‐45℃程度の一定温度で管理し,三浦市三崎水産物地方卸売市場で上場販売した結果、超低温保冷製品とほぼ同等の評価を得えて、保冷温度によって市場評価に差がないことを再確認できた。

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2 資源対応型:海外まき網(浮魚類開発調査グループ担当)
調 査 船:日本丸(744トン)

調査期間:周年

調査海域:熱帯太平洋海域・熱帯インド洋

調査のねらい
1 熱帯インド洋海域において効率的な操業パターンの開発に取り組み,持続的な漁業生産のための条件について調査する。
2 流れ物付き操業における若齢マグロ類の漁獲を最小化する方法について調査する。
3 次世代型海外まき網漁船に導入した新技術の実証化に取り組む。
4  『燃料消費の見える化』について実証試験を行い、燃料消費量削減に関する調査を行う。

平成22年度調査の主な成果等
1 流れ物付き操業(FADs操業)での若齢マグロ混獲を削減するための光刺激による大目網への誘導について検討した。生け簀での行動実験を行い、点滅光に対する反応がカツオとメバチで異なることが示され、選択漁獲につながる可能性が示された。さらに、太平洋海域において水産庁の照洋丸と共同でFAD操業でのメバチ小型魚混獲削減にかかる調査を実施し,点滅光などの刺激による魚の行動の変化について多数のデータを蓄積した。
2 ブイライン操業法に関しては、太平洋5回の素群操業を試行したうち2回で漁獲に成功しそれぞれ30トン、20トンの漁獲を得た。これによりブイライン操業でも素群魚群を漁獲できることが実証され、実用化に大きく近づいた。
3  『燃料消費の見える化』のため燃料流量計およびGPSの自動記録装置を取り付け、漁船の操業段階に対応したデータの収録を開始した。

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3 資源対応型:いか釣?(底魚・頭足類開発調査グループ担当)
調 査 船:第八白嶺丸(276トン)

調査期間:周年

調査海域:熱帯太平洋東部海域

調査のねらい
 イカ類資源の合理的利用を推進するため,これを利用するいか釣漁業の漁獲効率の向上や単価向上を図り,採算性を向上させる。この一環として,熱帯太平洋東部海域のアメリカオオアカイカを対象とし,比較的高単価な中小型個体の漁場開発及び選択的漁獲技術について調査を行う


平成22年度調査の主な成果等
本種は塩化アンモニウムを多く含むため異味が強く,加工に際して当該成分の除去工程を要することが低価格要因のひとつとなっている。このため,比較的異味成分が少なく高単価な中小型個体漁場の効率的探索手法を確立するため,平成21年度において確認した中小型個体漁場と周辺他漁場の双方において,漁獲量,生物学的情報,環境情報を収集した。当該漁場の形成条件を検討した結果,平成21年度調査においては,中小型個体は公海域において比較的多かったものの, 今年度の調査では,前年度に比しやや大型個体も多かった。

一方,200海里内の海域では,外套背長平均値と性比には季節的傾向が認められた。メス個体の割合と平均外套長の関係を見ると,メス個体が増えると平均外套長が小さくなる傾向があり,これらに海洋観測結果等の情報も含め当該漁場の形成要因の究明が可能であると考える。

 なお,日本国内において日本船漁獲物を利用する市場が縮小したために,その供給量や魚体サイズの変動を吸収しきれなくなっている状況に対応するため,市場の拡大と販路の多様化を図るべく,情報収集と販売試験を行った。  その結果,タイにおいて日本では相対的に価値の低い大型個体の需要があることを確認した。

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4 資源対応型:いか釣?(底魚・頭足類開発調査グループ担当)
調 査 船 :第二吉丸(164トン),平和丸(19トン)

調査期間:5月〜9月,12月〜3月

調査海域:北太平洋中・西部海域及び日本海海域、壱岐周辺海域

調査のねらい
 イカ類資源の合理的利用を推進するため,これを利用するいか釣漁業の漁獲効率の向上や単価向上を図り,採算性を向上させる。


平成22年度調査の主な成果等
夜操業においてLED水中灯を併用することで,漁獲量を維持しつつ船上灯の出力を削減し,燃油消費量を削減するためLED水中灯の利用技術の開発に取り組んだ。
1.アカイカ調査
昼夜にわたるLED水中灯の効果的な使用方法の確立のための調査を行った結果,昼間操業では従来光と同等以上の効果を再確認した。夜間操業では,今季は空前の不漁だったため,水中灯の効果は明瞭ではなかったが,過去の結果から平年並の来遊があった場合,水中灯を併用することで,漁獲を維持しながら船上灯を半減できることを確認しており,LED水中灯は昼夜を通し,効果的であることを確認した。

2.沖合スルメイカ調査
夜操業調査においては,LED水中灯を併用することで船上灯を190kWとした場合でも,船上灯250kWで操業する一般漁船と同等の漁獲を得たが,針に光を当てることによる誘導機能は認められなかった。今後,LED水中灯の別の誘導機能及び集魚補助機能について検討する。

3.沿岸スルメイカ調査
沿岸域でのスルメイカ調査においては,当該漁場がスルメイカ以外の魚類等の多い海域でもあり,それらの状況に合わせた効率的なLED水中灯の使用方法の検討を行った。魚類等の分布状況,状況に合わせたLED水中灯の効果的な使用方法についての情報を蓄積中である。

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5 資源対応型:遠洋かつお釣(浮魚類開発調査グループ担当)
調 査 船:第三十一日光丸(499トン)

調査期間:周年

調査海域:太平洋中・西部海域

調査のねらい
1 衛星情報等の活用による漁場探索技術の向上に取り組む。

2 『燃料消費量の見える化』及びカタクチイワシの飼育環境の適正化による省エネ手法について調査する。

3 製品の付加価値向上を目的として,船上における脂肪測定値の有効活用について調査するとともに,沖締め(S1)熟成カツオ及びビンナガを試験生産し,普及に向けた課題を整理する。


平成22年度調査の主な成果等
1 6月上旬,東沖において50m深中層水温図上で認められた小規模暖水塊の南側縁辺部(33°N,161°E付近)でビンナガ17.6トンを漁獲した。この水域で当業船が6月8日〜6月20日(13日間)に集中的に操業し,ビンナガ1,619トンを漁獲し,中層水温図で持続性のある漁場の発見が可能なことを確認した。また,プランクトン図と水色に相関が見られたことから,9月中旬の東沖では,表面水温上は適水温帯であってもプランクトン図で水色が悪い水域には入らないように探索・操業を行い,10日間でおよそ70トンのカツオを漁獲し,プランクトン図も漁場選定の一助となる可能性が示唆された。
2 低温活餌システムにおいて,船上において活餌カタクチイワシの飼育水温を従来の15℃から20℃まで徐々に上げて行く手法により,従来と同様に飼育できることを確認した。また,飼育水温を上げること及び新鮮海水量の取り込み量を使用する飼育魚倉の容積に合わせて制御したことにより,1航海あたり5〜11klの燃油消費量節減効果が試算された。
3 焼津では『船上活き〆とろかつお』のブランド名で脂の乗りの良好なカツオのみを沖締め生産していることから,船上において近赤外線脂肪測定器で測定した脂肪データを基準としたトロカツオの沖締め製品の生産を当業船と連携して行い,品質維持を図った。沖締め(S1)製品を15℃の冷海水に12時間浸漬し,熟成させた製品は,冷凍魚加工販売業者及び外食産業者から,廃棄ロスの軽減,流水解凍で簡単に食べられる手軽さ等が評価され,付加価値向上の可能性が示唆された


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6 資源対応型:北太平洋さんま漁業(底魚・頭足類開発調査グループ担当)
調査船(網船):第一榮久丸(198トン),第六十三幸漁丸(199トン)
                    第十八天祐丸(160トン)

調査船(運搬船): 第十一権栄丸(199トン)
                      第十八漁栄丸(199トン)

調査期間:5月〜7月

調査海域:北太平洋中・西部海域

調査のねらい
 大型船によるさんま漁業の経営の安定を図るため,未利用資源である公海上のサンマ魚群を対象とした操業を確立するとともに,漁獲物の海外食用向け又は国内非食用向け製品の製造を念頭に,既存の国内生鮮市場と競合しない市場開拓を行う。


平成22年度調査の主な成果等
 平成19年度から調査を行い,これまでに,公海域でもサンマ操業が可能なことを確認したが,近海域に比して灯付きが悪いことと,漁場が遠いために運航効率が悪いことから,商業的操業が可能なほどの漁獲量を得るには至っていない。
 このため,本年度調査では,? 公海域サンマの灯付きの悪さに対応した集魚技術の開発と,? 運搬船を活用した操業効率の向上と操業範囲の拡大に取り組んだ。

 調査の結果,合計漁獲量は1,698トン(運搬船自身による漁獲分を含む),操業船1隻あたりの漁獲量は534トンであり,来遊状況は低水準であったにもかかわらず,好漁年であった平成20年度調査に匹敵するレベルの漁獲が得られた。

この要因として,? 運搬船に漁獲物を渡すことで,操業船が水揚のために帰港する必要がなく,探索・操業日数が増えたこと,? 複数の網船から漁獲物を集めることで短い日数で満船に出来るため,鮮度を保持できる限られた日数のなかで,操業船がより遠い漁場でも操業を行うことが出来るようになったことなどが挙げられ,運搬船の有効性が実証された。
 また集魚技術に関する取り組みとして,LED水中灯の併用や赤色船上灯(外国船が使用)の効果を検証した。結果,LED灯は濃霧時などに効果が期待でき,赤色船上灯は蝟集効果は弱いものの,魚群をその場に留めるような反応が観察された。





 さらに,調査を通じて,外国さんま漁船100隻以上(台湾,韓国,中国)が公海で操業していることを確認した。我が国としても公海操業に向けた情報の蓄積が必要である。  今後,運搬船の適正船型や船団規模の検討,集魚技術のさらなる開発を行い,漁期の拡大による大型さんま棒受網漁船の経営改善の可能性についてさらに検討を進める。

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7 システム対応型:単船型まき網(浮魚類開発調査グループ担当)
調 査 船:調査船:北勝丸(300トン)

調査期間:周年

調査海域:北部太平洋海域

調査のねらい
1 完全単船型まき網操業システムの効率的運用に取り組み,その有効性について調査する。
2 サバ類資源の合理的利用に係る試験操業を行い,課題を整理する。
3 一層の生産コスト削減のため,『燃料消費の見える化』について実証試験を行い,燃料消費量削減に関する調査を行う。
4 漁獲物の付加価値向上のため,サバ類については沖締め凍結サバ製品の増産を図る。また,当該製品生産時に副次的に生産される規格外品(中小サイズ(400g以下)及びゴマサバ凍結製品)の製品開発の可能性を検討する。イワシ類については,シャーベット状海水氷を使用したイワシ類の製品開発を試行する。
5 本システムの採算性について平成18年度から22年度の実績に基づき検証する。

平成22年度調査の主な成果等
1 イワシ・サバ類漁期では,狭小化した網台においてイワシサバ兼用網とカタクチイワシ網でドカ積み方式での整理を行ったところ3〜4人の省人効果が認められた。

2 サバ類資源の合理的利用に関して、縮小サバ網とドカ積みによる省人省力および個別割り当て(IQ)による計画生産の有効性について調査を行った。計画生産により操業時間の制限は緩和されたが、仮想IQ枠の消化割合は平均80%、生産金額は141,160千円に留まった。さらに消化率を向上させるには休漁日の出漁などさらなる操業条件の緩和が必要であると考えられた。一方、計画生産で凍結サバを生産した付加価値効果を試算すると、全て鮮魚で出荷した場合と比較して1,904千円の増となった。

3 「沖締め凍結サバ」の生産は,大型サバのみを生産対象としたことから,生産量は20.7トンのみとなり,昨年の95.4トンに比べ78%減となった。単価は,160.9円/kgで昨年度の106.2円/kgを51.5%上回った。

4 想定採算ライン5.84億円に対する達成度は,平成18〜22年度の5カ年平均の水揚げ金額で,想定する採算ラインの約82%の達成となった。

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8 システム対応型:全層トロール(底魚・頭足類開発調査グループ担当)
調査船:第五十八富丸(401トン)

調査期間:平成21年8月〜1月,平成22年4月〜8月

調査海域:調査海域:南インド洋西部海域

本調査の目的
   底魚資源に加え,公海上の表中層域に豊富に存在すると推定される多くの低・未利用資源をも対象とした全層トロール操業を確立するために必要な表中層トロールによる漁獲技術を確立する。

平成21-22年度調査の主な成果等
 利用可能な漁場の縮小などにより厳しい状況にある日本の遠洋トロール漁船は,近年,北太平洋公海域の天皇海山を主漁場のひとつとして操業してきた。しかしながら,公海底魚漁業が脆弱な生態系に及ぼし得る悪影響を防止することが国連で決議されたことを受け,天皇海山水域においても漁獲努力量の一部削減が必要となっている。このようなことを背景とし,平成21〜22年度の2か年にわたり,南インド洋西部公海域において,海底の生態系への影響を考慮した中層トロール漁法を用い,海山群上に浮上した有用魚種を対象とした新たな漁場開発に取り組んだ。

 開発する漁場の想定漁期は,天皇海山の代替漁場とすることを考慮し,4月〜12月の8か月間(日本からの出漁期間:3月下旬〜1月上旬)とし,平成21年度には想定漁期の後半期に,22年度には前半期に,それぞれ調査を実施した。当該出漁期間中の想定損益分岐金額は5億7千万円(200万円/稼働1日)とした。

 中層トロール漁法により,魚群の鉛直移動に合わせ曳網することで漁具を着底させることなく有用魚種を漁獲可能であることを確認した。主たる漁獲魚種は,キンメダイ,クサカリツボダイ類の一種,ミナミクロメダイ,ナンキョクメダイであった。製品生産量及び生産金額は21年度は1,218トン,385,391千円,22年度は605トン,238,771千円(いずれも消費税込み)であった。

 2か年の調査における想定漁期8か月間合計の生産金額は624,162千円で,損益分岐金額を上回っており,南インド洋西部公海域において,海底生態系への悪影響を抑えた漁法による企業的操業が可能なことを実証した。この結果に基づき,既に日本の遠洋トロール船1隻が商業的操業を行っている。


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9 システム対応型:近海はえなわ(資源管理開発調査グループ担当)
調査船:海青丸 (149トン) 

調査期間:周年

調査海域:北太平洋西部海域

1.調査のねらい
 近海まぐろはえ縄漁業において,省人省力化,燃費の節減及び販売単価を向上させるために,次世代型近海まぐろはえ縄漁船の企業化のため以下の項目についての実証調査を行う。
(1)直巻きモノフィラリールシステム導入による従来船に比べ乗組員2名の省人化(16名→14名)
(2)メカジキの販売単価向上の可能性への挑戦
(3)燃油消費量削減効果確認

2.主な成果等
(1) 新しい操業手法の確立
1)1操業当たりの使用釣針数は、平成23年1月時点で3,040本と当初目標の3000本を既に達成した。
2)投縄から漁獲物のシャーベット状海水氷処理を経て揚縄までの一連の船上作業に要する時間は、21時間程度で完了し、使用針数の増加による生産量増加の可能性が期待される。以上より,省人・省力化対策として導入された新機軸である直巻きモノフィラリールシステム並びに付加価値向上対策として導入されたシャーベット状海水氷処理による新しい操業手法は確立したと考えられる。
(2)メカジキの販売単価向上の可能性への挑戦
1) 中央水産研究所水産経済部と連携して、インターネットアンケート結果に基づき、販売戦略を検討した。メカジキ刺身・寿司を食したことがある被験者は全体では少ないが、三陸沿岸地域相対的には高いと推定された。メカジキ刺身・寿司は、圧倒的に寿司屋/回転寿司屋で消費されていることが明らかとなった。先ず,沿岸部でメカジキの地域ブランド力を高め,この力を利用して内陸都市部のメカジキ認知度を高め,最終的に都心の発言力のある寿司屋/回転寿司に販売する戦略が適していると考えられた。
2)気仙沼地区近海はえなわ漁業の主力魚種であるメカジキの評価を高めるために、全国に普及を推進するために気仙沼で近海はえなわ漁業者、魚市場関係者、加工業者の他、研究機関、行政関係者等を対象にシンポジウムを開催した結果、気仙沼にとって生鮮メカジキは重要資源であり、価値を高めていく必要があること、そのためには地域が一体となった取組が必要であることなどが共通の認識として得られた。
(3) 燃油消費量削減効果確認
平成21年度に引き続き、気仙沼湾におけるマイルポスト試験を実施した。ドック前と後に実施した試験の結果、船体への汚れが燃油消費量に与える影響は、同一速力で約10%増である。また、一層の燃油消費の削減のため、水産工学研究所と連携して、船内に流量計及び電力積算計の取り付けを行い、出港から入港に至る操業中の機関回転数、燃料消費、船速等の実態を詳細に分析を行っているところである。
(4) その他の効果
気仙沼地区近海はえなわ漁業者は、漁業構造改革総合対策事業を活用して、海青丸がこれまでに実証してきたシャーベット状海水氷で処理した高鮮度のメカジキ製品の安定供給体制を構築するための方策を検討している。

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10 システム対応型:近海かつお釣(資源管理開発調査グループ担当)
調査船:第五松?丸 (19トン)       調査期間:周年      調査海域:南西諸島海域及び九州西方海域

1.調査のねらい
南西諸島海域や五島沖の九州西方海域及び宮崎沖海域の近海かつお一本釣り漁業において,以下の項目に従い,19トン型かつお一本釣船の効率的な操業パターン及び漁獲物の販売単価の向上を追求する
(1) 効率的な操業パターンの追求
(2) 販売単価向上の可能性の検討
1) 短期航海で生産したカツオの市場評価を把握する。
2) 製品の鮮度と品質分析について,長崎大学,長崎県水産総合試験場と共同で解析を行う。
(3) 収益性の改善の可能性の検討
(4) 餌(カタクチイワシ)の生残率向上についての検討
餌の生残率の向上に適した飼育環境について志布志栽培漁業センターの協力を得て検討する。

2.主な成果等
(1) 効率的な操業パターンの開発
短期航海の実施による生産性を検証した結果、南西諸島海域では、水揚げ量は操業日に応じて増加するが、1日当たりの水揚げ金額が最高となるのは2日操業であった。一方で、九州西方海域では、水揚げ数量、金額ともに2日操業が最高であった。両海域ともに2日操業が効果的と考えられる(図1)。
(2)市場評価
1)当業船と同じ日に水揚げを行った際の製品の銘柄別単価比較では、宮崎市場では、有意に調査船の方が高かった。一方、長崎市場では、有意な差は見られなかったが、1尾入り製品では調査船の方が有意に高かった(図2)。
2)製品の品質分析
漁獲直後から魚体温度を速やかに低下させる保存が必要
(3)採算性の改善の可能性
・従来船よりも収益性が改善されている。
・この成果が、近海かつお・まぐろ地域プロジェクト改革計画策定の基礎となった。   平成22年6月に開催された漁業構造改革総合対策事業中央協議会で19トン型船2隻の建造が承認された。
(4)25℃に冷却した海水を使用し1/3程度を断続的に換水することによって,安全に飼育できることが飼育実験の結果からわかった。

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11 システム対応型:小型底びき網(底魚・頭足類開発調査グループ担当)
調査船:共正丸(10トン,平成21年度),幸誠丸(10トン,平成22年度)
調査期間:平成21年11月〜平成22年1月,:平成22年9月〜11月
調査海域:島根県西部(石見)海域

調査のねらい
 島根県石見地区において,当海域の重要漁業である小型底びき網漁業(かけまわし)を対象とし,漁業経営の改善に向けた取り組みの一環として,省人化漁具の開発を行う。

平成21-22年度調査の主な成果等
 島根県の基幹漁業の一つである小型機船底びき網漁業(手繰第1種漁業:かけまわし)は,資源水準の低迷による経営状況の悪化や船齢の高齢化など厳しい状況に置かれている。同県では,島根県小型底曳船協議会とともに検討した将来構想の一環として,ひき綱構成の改善による投網準備作業の省人化を提言している。当センターでは,同県及び同協議会の要望を受けて,当該省人化漁具の開発を行った。

 かけまわし漁法では,片舷のひき綱〜網〜もう片舷のひき綱の順に投網が行われる。投網時に最初に投入されるひき綱の一端(船側の端)は,揚網時に最初に取り込まれ,最後に網側の端が取り込まれるため,投揚網毎にひき綱の船側と網側の端が逆転する。この地域で使用されているひき綱は,山部分(ひき綱投入時の変針点となる比重の重い箇所)が偏って配置された一山タイプ(左右非対称漁具)であることから,次回の投網準備のため,揚網中に1名を配置してひき綱を引っ繰り返す必要がある。そこで本調査では,投揚網毎に2つの変針点を交互に使う二山タイプのひき綱(左右対称漁具)を開発した。  平成21年度調査では,開発漁具により投網準備作業の省人化が可能であること,比較的深い水域でカレイ類等を対象に行う操業(沖曳き)では十分な漁獲性能が得られることを確認したが,浅い水域で遊泳力の強いタイ類等を対象に行う操業(灘曳き)では漁獲性能に課題が残された。

 このため平成22年度調査では,曳網距離を長く取れるようにすることで遊泳力の強い魚の漁獲にも対応するため,山部分を中心に比重を増したひき綱を作製した。改良・調整の結果,沖曳き・灘曳きの両方に対応可能な省人化漁具が完成した。

 今後は,島根県と同県の小型底曳船協議会が策定した小型底びき網漁業の将来構想に基づいて,開発した漁具が各船に導入されることが期待される。  なお,かけまわし漁具は,操業中に漁具の形状や挙動が刻々と変化するが,その間もひき綱と網のバランスを適正に保つことが重要である。しかし,他の底びき網漁法と異なり,漁具挙動の把握手段が確立していないため,漁業者による漁具の改良は経験に基づく試行錯誤によって行われている。本調査では,小型流速計や水深計,水中カメラなどを用いた計測的手法により漁具挙動を把握することで,効率的な漁具開発が可能であることを確認した。

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